10代〜20代の間で昭和レトロがブームになっています。FUJIFILMの使い捨てカメラ「写ルンです」のように、Instagramの写真もあえてノイズをのせて古い雰囲気を出してみたりは当たり前。なぜ、昭和を知らない若者たちはそれらのものを「懐かしい」と思い、愛着を持つのでしょうか。もしかすると、デジタル社会での「便利さ」がそうさせてしまうのかもしれません。思うように操作ができて簡単で、すぐ答えが出るような便利さは、どこか味気がなく感じてしまうのが、ないものねだりな人間の感覚なのでしょう。
「手間暇」のかけた存在や、足りない部分があるといった「不足の美」を昭和レトロに感じているのかもしれません。出来立てよりも、手間のかかった時間だけ美味しく感じるカレーのようなものなのかも。
今回は、そんな昭和時代から、まるでタイムスリップしてきたかのような物件です。
1957(昭和32)年に公営住宅として建築され、現在の所有者さんに払い下げられたこの物件。売主さんのお父さまが当時建築士として携わっていたそうで、払い下げられてからは、お母さまが丁寧に生活されていました。
都度都度キッチンやお風呂を増築し、室内の壁を替え、雨戸を付けたりなど、昭和の良いところを残しながら少しずつ丁寧に繋いできたこの物件。
手間暇を惜しまない暮らしは、時間を超えて感じることができる、人の手の暖かさなのかも知れません。時代が目まぐるしく変わっても、素朴で手の暖かさを感じるものが人間には必要なんだ。そう思える物件でした。